タコピーの原罪 第3話 感想・評価｜笑顔の「ありがとう」が最も恐ろしかった理由とは

「タコピーの原罪」第3話は、多くの視聴者にとって“精神的に最もキツい回”だったのではないでしょうか。前話でまりなを殺してしまったタコピーとしずか。今話ではその罪をどう受け止めるか、あるいは見ないふりをするのかが問われます。

しずかの「ありがとう」という笑顔、東くんの歪んだ優しさ、タコピーの“まりな偽装”と母親との対面…。どの瞬間にも「正しさ」の崩壊と痛みが詰まっていました。

この記事では、第3話のあらすじから心理描写、SNSの反応、ED演出に至るまでを徹底的に掘り下げていきます。「あの怖さは何だったのか？」を一緒に整理していきましょう。

第3話の衝撃展開を時系列で整理｜しずか・東・タコピーの選択

第3話は、第2話で発生した「まりなの死亡」という重すぎる事実をどう処理するかが物語の焦点となった。冒頭では、しずかがまりなの遺体の前に佇んでいたところに、同級生の東くんが偶然通りかかり、遺体の存在が発覚する。

東はしずかから事情を聞き、「このままだと少年院に入ることになる」と説明。しずかはショックを受け、「そうなるとチャッピーにもう会えない」と動揺し、まりなの死を隠してほしいと東に懇願する。

東は、自分を必要としてくれるしずかに期待されたことで、迷いながらも協力する決意をする。彼女の言葉に応じて、まりなの遺体はタコピーの「ハッピー道具」に収納され、地中へと埋められて隠蔽された。

そして事態を収束させるべく、タコピーは「へんしんパレット」を使い、まりな本人に変身して家庭に戻るという選択をとる。こうして物語は「死を偽装して日常に戻る」という倫理的にも心理的にもきわめて歪な方向へ舵を切っていく。

しずかの「ありがとう」はなぜ恐ろしかったのか

第2話のラストから繋がるしずかのセリフ、「殺してくれてありがとう」。その言葉は、無表情ではなく、むしろ穏やかな“笑顔”とともに放たれた。その瞬間、視聴者は「この子は何かが壊れているのではないか」と直感せざるを得なかった。

しずかはまりなから日常的にいじめを受け、チャッピーすら奪われた過去がある。彼女の内面には、まりなへの怒りと恨み、そして諦めのような感情が静かに積もっていた。それがタコピーの行動により、唐突に“解決”されたことで、彼女の感情は一種の解放感すら伴ってしまったのだ。

しかし、「ありがとう」と感謝する言葉が、まるで誕生日プレゼントでも受け取ったかのように発せられたのは明らかに異常だった。しずかは感情が麻痺しているのか、それとも正義と倫理の境界が壊れてしまったのか。そのどちらもが視聴者の胸に不安として刺さる。

SNSでも、「あの笑顔がいちばん怖かった」「一線を超えた少女の顔」といった声が相次ぎ、演出の凄みを改めて感じさせる。第3話は、しずかというキャラクターの“異常性”がはっきりと浮き彫りになった回だった。

東くんはなぜ共犯になったのか｜優等生の苦悩と歪み

しずかから「まりなを殺してしまった」と告白されたとき、東くんは即座に拒絶するでもなく、戸惑いながらも話を聞き入れた。「少年院に入るかもしれない」「チャッピーに会えなくなる」と不安がるしずかの姿に、彼はある種の“必要とされている実感”を得たように見える。

東くんは、勉強もスポーツもできる兄と比較され続けてきた過去を持ち、母親からの期待を裏切ってばかりという劣等感を抱えていた。だからこそ、自分に頼ってくれたしずかに対し、「この子の役に立ちたい」と思ってしまったのかもしれない。

また彼は、「しずかは悪くない」「悪いのは環境や周囲だ」と心のどこかで正当化しようとしていた節もあり、遺体の隠蔽に協力してしまう。表面上はまじめで優しそうな少年が、自己承認欲求のために倫理を曲げていく様子が、何よりも胸をざわつかせる。

まりなの遺体をハッピー道具で収納し、地中に埋めたあとの東の表情は、どこか虚ろで現実感が薄れていた。「罪悪感」と「自己満足」が入り混じったような彼の表情こそ、この第3話の“もうひとつの原罪”を象徴しているようだった。

タコピーの変身体験と“原罪”の芽生え

まりなの死を隠蔽したあと、タコピーは「へんしんパレット」を使ってまりなに変身し、学校や家庭での生活を偽装し始める。だがそれは、明らかに“別の誰かの人生を奪った”ことにほかならなかった。

タコピーは当初、まりなの家庭で両親が毎日のように怒鳴り合う姿を見ても、「いっぱいおしゃべりしてて仲良しっぴ！」と楽しげに捉えていた。人間にとって深刻な家庭の不和ですら、タコピーには“仲良く会話している”ようにしか見えなかった。この描写は、彼がまだ「人間の痛み」や「家庭の空気」を理解できていない存在であることを象徴している。

しかし、決定的な転機となったのは、まりなの母親が「あなた、まりなじゃないでしょ…返して…」と泣き崩れた場面だった。これまで“ハッピー道具”で全てを解決してきたタコピーにとって、「自分のしたことが誰かの心を取り返しのつかないほど傷つけていた」という事実を、涙という“感情”で突きつけられた瞬間だった。

このときのタコピーの表情は、いつもの間延びした笑顔ではなく、はじめて“罪”を自覚した存在の顔になっていた。ここから彼の「原罪」というテーマが、物語全体に重くのしかかっていくことになる。

SNSで話題のシーンまとめ｜「胃が痛い」「泣いた」の声多数

第3話の放送直後、X（旧Twitter）では「胃が痛い」「気分が悪くなるほど重い」「泣いた」という投稿が次々と流れ、視聴後に感情が整理できなかったという声が圧倒的に多かった。とくに、しずかの「ありがとう」発言や、タコピーの“まりな偽装”が話題の中心だった。

SNSで最も引用されたのは、まりなの母親が「返して」と泣き崩れる場面。このシーンに「心が締め付けられた」「タコピーの表情が今までと違いすぎて怖い」という感想が寄せられた。映像の“無音＋静寂”の演出が心に刺さったという反応も目立った。

また、「東くんが良い子に見えて一番危うい」という声や、「みんな狂ってて誰も正しくない」という分析的なポストも多く、キャラクターの“歪さ”と“正しさの崩壊”に視聴者が引き込まれていることがうかがえる。

一方で、「辛すぎてしばらく見られない」「原罪というタイトルに納得した」というような投稿もあり、この回の衝撃の大きさを物語っていた。SNSはまさに第3話が視聴者の心をえぐった証言集となっていた。

ED曲「がらすの線」と物語の切なさの共鳴

第3話のラスト、タコピーがまりなの母の涙に動揺し、“原罪”に気づき始めた直後に流れ出したのが、Teleが歌うEDテーマ「がらすの線」だった。タイトル通り、ガラスのように繊細で、いつか壊れてしまいそうな“心の境界線”を感じさせるこの曲が、沈黙から始まる余韻の中で強烈に響いた。

歌詞の中では「わたしはずっと…」と始まる静かな独白が繰り返される。これがまるでタコピー自身の懺悔や、しずかの心の叫びのようにも感じられ、視聴者の心に“痛み”として残ったという声がXにも多数見られた。

また、BPMがゆっくりでピアノ主体の伴奏も、第3話の「静と沈黙」の演出と絶妙にマッチしていた。前話のED「がらすの線」は“綺麗すぎる”印象だったが、今話では「償いと静寂」を伴う構成でその意味が変化したようにさえ感じられる。

「EDの入りが天才的だった」「涙が止まらなかった」「音で感情がぶっ壊れる」などの感想が多く寄せられ、物語の余韻と音楽のリンクが視聴体験を強く補強していたことがうかがえる。